Inspired by NikkeiBusiness 20080121 世界人材獲得戦
米IBM「IBM Global Human Capital Study2008」によれば、世界の企業の多くが人材重視の姿勢を打ち出しているという。世界40カ国400以上の企業のCHOにアンケートを行った結果、「従業員の定着率や離職率(70%)」「従業員の労働意欲や満足度(64%)」こそ、従業員の管理で重要な指標であることが提示された。
一方、調査結果を日本企業(40社)に限定すると、もっとも多い回答はなんと!「従業員一人あたりのコスト」と「一人当たりの利益」が57%、「従業員一人当たりの売上」が54%で続くという結果になるようだ。「成果主義型の人事評価制度導入により、個人の業績にフォーカスするようになった日本企業の姿勢を反映している」と本記事が指摘するように、世界の感覚とはすこしずれた状態に陥っているようだ。
「日本の企業はもともと人を大事にしたり、徒弟制度的に人を育てる文化があったはずだが・・。長引く不況の影響で、財務指標が優先されるようになった」と、IBMビジネスコンサル三巻氏も語っているが、財務情報以外の指標を活用できなければ、世界の人材獲得戦線から大きく離脱することになりかねない。
Inspired by Nikkeinews 20071225
女性活用に企業が駆り立てられる要因とは何か。
一つには、「男性中心の年功序列人事にショックを与え、優秀なヒト(女性も男性も)の積極登用と成果主義の導入を図る」とする変革のけん引役に引き立てられるケース。
もう一つには、「商品開発・販売のためには、より生活者に近い女性の目線が必須」というケース。
さらに、労働についてのCSRで欧米がダイバーシティを重視した動きを強めている点がある。性別や人種などで従業員を差別したり職場環境を整えない企業を、政府調達などから排除する考え方で、公正さを示す意味でSA8000基準(Social Accountability:企業の労働環境を社会に説明する責任)やFLA認証などが広まっている。
非正社員の低賃金の問題など、社会問題に取り組む姿勢も問われている。
多くの人が活躍できる労働市場は、生産性向上に寄与する。そんな研究レポートを内閣府がまとめています。
若年層、女性、高齢者の労働参加率を高めるための施策として、就労インセンティブを後押しする税額控除の仕組みや、就業能力向上のための研究・人材育成投資、市場メカニズムを活用する市場規制の緩和など、先進諸国の取り組みを紹介している。
これらの施策を実効性の高いものにするポイントは、給付策や支援策、経済活性化策など、官公庁の領域を超えた連携をスムーズに行うこと。
Inspired by Nikkeinews 20071018 経済教室 西口敏宏一橋教授
最新のネットワーク理論では、個人、組織、地域が、固有の認知限界と資源の制約を超えて、反映する秘訣は、スモールワールド・ネットワーク化にあると言われる。成功するヒトや組織は、近所付き合いと遠距離交際のバランスを絶妙にたもちながら活動している。
このようなネットワーク・トポロジーを構成するには、「本業」と「遊び」の絶妙な配分が重要である。3Mの15%ルールのように、普段の業務から離れて発想することの奨励や、トヨタの「自主研究会」のように、生産品目や技術専門性で競合しない優良協力会社を集め、斬新な発想や経験知の共有などが、「遊び」にあたる。既存の枠組みを大幅に変えずに所与の資源をうまく活用して、最小有効余剰を創出し、本業周辺の近所づきあいと、直近とは無関係の遠距離交際をいかにバランスするかが重要である。
ランダムなつながりではなく、見込みによる絞込みが、この段階の鍵を握る。
Inspired by Nikkeinews 20071207
働き方の多様化が進む。9年ぶりに一般職採用を再開した丸紅には、男性からの応募者が現れ、ユニクロの転勤なしだが管理職になれないエリア職にも男性の四割弱が応募。松下では、賃上げ原資を育児手当に回すことに、独身女性から不満の声があがる。同族職場が解体、企業の懐の深さが問われている。
なかでも、興味深いのは、「出世したくない病」の蔓延だ。「仕事に打ち込み、部下を持つことで報われるとは限らない」と、シニカルに昇格をとらえ、現状維持を望む層が拡大している。本記事では、「バリバリ族とほどほど族の二極化現象」と表現。タワーズペリン社の「日本では仕事に意欲的ではない、どちらかと意欲的ではないという人が計72%いる」という結果を紹介している。
社員に差をつける「査定」中心の人事制度は、一部のバリバリ族を孤立化させ、疲弊感をもたらすうえに、ほどほど族の意欲、情熱を失わせてしまった。内向きに差別化する姿勢からいち早く脱却し、外向きに独自性を発揮させて、意欲や成果を引き出す努力が、求められている。いまこそ、遠心力経営を!!
Inspired by Nikkeinews 20071130
英Economist に日本型経営が「ハイブリッド型」となって、アングロサクソン型経営を凌駕する可能性があるとの記事が掲載された■。同誌が日本の経営論を特別記事とするのは、なんと1999年以来、八年ぶりとのこと。企業統治やM&A、モノいう株主の存在感の高まりなど、欧米型の企業経営が広まる一方で、日本の伝統的価値観である丁重で礼儀正しい関係性を企業統治、社員との雇用契約で重視する点を指摘している。
同誌は、日本の雇用実態が、終身雇用であるのは年配のサラリーマンに多く、若年層や労働市場が固定的でないとの認識があると指摘。非正規社員数の増加は、企業にとっても市場動向に応じた雇用を可能とし、好都合であるとしている。
非正規社員の増加は、女性や60歳以降のシニア層の労働力開拓になると歓迎する一方で、非正規社員層の社会福祉環境の充実が不可欠と言明。
Eonomist誌が分析する、非正規社員の増大という労働市場のあり方が、グローバルマーケットからは歓迎すべき事態と思えても、日本国内でうつ、自殺の問題が恒常的に発生している事態を加味して、真に終身雇用を手放すべきか、考えていく必要がある。
Inspired by Nikkinews 20071124 民力アジア
Diversity and Inclusion (多様性とその受容)というキーワードは、かつてはジェンダーやマイノリティへの対応策として発足したが、現在では「業績向上は異なる才能を活用する」「社員を重視し、彼ら・彼女らの力を引き出す」という意欲的な目標のために、活動を推進する企業が多いようだ。
こんな話がある。「それぞれの人が持つ文化によって尊敬するリーダー像が違う。例えば、ミーティングで積極的に多く話すことを評価する文化もあるが、反対にあまり話さずに他者の言うことをよく聞き、的確な判断ができるほうを評価する文化もある。リーダーとはこうあるべきと決めてしまわず、話し合いながら自分たちはどんなリーダーを尊敬するのか、何を評価するのかを納得することが重要」。多元性を重視する時代には、リーダーシップのあり方を固定化すべきではないのだ。
本記事では、Diversity and Inclusionの取り組みとして、宗教や民族も市やにいれた柔軟な組織構築を探る場の構築事例が紹介されている。一元的な家族主義ではなく、多元性のある家族主義の場へ。グローバルな先端企業で、バーベキューやハイキングを会社が企画・運営されているという事実を、時代の反動としてとらえず、新しい時代の場づくりとして認識する必要がありそうだ。
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