ところで、日本は世界 1 位の高齢化国家ですが、子どもの人口比が 13%で、192 位の世界 最下位の少子化国家というのをご存じでしょうか? 1−4歳の幼児死亡率は意外と高く、子 どもの貧困率も高い。不登校や自殺も多く、学習障害の子どもが放置されていることも問題 になっています。今、日本では高齢化対策ばかり考えていますが、子どもの問題は深刻化し ています。私はキッズデザイン賞の審査委員もしておりますが、子どものモノにおいても目 的工学がひじょうに重要だと感じています。紺野登さんのMessage。子どもの世界を通じて、日本が世界にほこれる国に変わるために、何が必要であるのかを考えたい。
Step1 課題を設定する
組織全体の使命に関わる未来のチャンスや驚異を知る。または、特定のプロジェクトや目標に関する方向性を探ったり、危機的状況への解決策を探るために、シナリオ・プランニングを利用する。自分たちが直面する問題にどう対応するか、という問いから課題を設定する。
同時に、「時間軸を定める」、「ステークホルダーを特定する」ことが重要である。
できれば、ショッキングなテーマ設定をして、関心を喚起しよう。
Step2 情報を収集する
必要な情報を集めるためのチェックリストは存在しない。多角的に情報を収集する努力をしよう。ただし、この継続的情報収集には時間とリソースが必要であることは間違いない。その時間もリソースもない場合には、個人への取材を行う。シナリオプランニングに主観的な意見と判断を持ち込み、経験に基づいた創造力と制約にとらわれない視点を持ち込んでくれるだろう。
例えば、「もしあなたが10年後の未来を見通せるとしたらその特徴をもっともよく表す事項の2、3つとは何でしょう」と尋ねよう。
Step3 未来を動かすドライビングフォースを特定する
ドライビングフォースとは、未来に大きな変化をもたらす可能性をもつものである。STEEPと呼ばれる5つのカテゴリーから考えることが一般的だ。現在から決められた時間まで(通常10年間+α)大切なドライビングフォースをできるだけ多く挙げてもらう。多ければ多いほどいい。
Step4 未来を左右する「分かれ道」になる要因をみつける
多く抽出されたドライビングフォースを、次の二軸をもとに整理する。一つは、不確かさ、もう一つはインパクトの大きさだ。不確かさが高く、潜在的インパクトが大きい象限にはいったものから、重要と思われるものを二つに絞り込もう。これが、重要な不透明要因である。
今度は、二つの重要な不透明要因を軸にして、4象限を見る。これらが異なる未来のシナリオの輪郭を表し、これらが「分かれ道」のどちらにころぶかによって未来が決まる。
Step5 シナリオを考える
四つの象限がそれぞれ異なる未来を表すマトリクスだ。その進展を考え、それぞれのシナリオに名前をつけることを勧める。
Step6 骨組みに肉付けし、ストーリーを描く
シナリオそれぞれの基本部分を拡大する、つまり骨組みを肉付けする。この段階が、もっとも想像力と創造力を必要とされる。肉付けの際には、好奇心たっぷりの質問を考えることから始めよう。関係者にとって、どんな意味があるのか?影響を受けるのは誰で、どのようなものか。財務的にはどのような影響があるのか。誰に取っての、どのような対応が求められてくるだろうか。
肉付けされたストーリーでは、未来から現在へと逆向きに語られることになる。いったいどんないきさつで世界はこうなったのか、因果の連鎖を描くことである。
このプロセスは、非常にエネルギーを必要とする。熱心な参加者でさえ、ストーリーを描くことは容易ではない。重要なのは、出来事の連鎖を現実的に描くという姿勢だ。
ただし、ストーリーをまったく思いつかない場合や異なるシナリオの要素が区別がつきにくくごちゃごちゃになっている場合は、立ち止まる必要がある。切り口として選んだ重要な不透明要因があいまいだったり、切り口が似通っている可能性があるからだ。その場合は、もう一度元に戻って、新たに二つ要因を選び直す必要がある。
Step7 シナリオを検証し、追加の調査項目を特定する
シナリオを発表したり、広く配布する前に、知識豊富な第三者に徹底的に検証してもらおう。フィードバックが重要だ。
Step8 シナリオの意味を汲み取り、取りうる対策を決める
各シナリオに対応する戦略オプションの一覧をつくる。オプションを書き出したら、それらを評価する。
Step9 目印を探す
各シナリオが実現するかしないか、判断するための指標となる、トレンドを特定する。
Step10 シナリオを観察し、更新する
ハーバード大 リーダーシップ白熱教室の六回シリーズが終了した。教壇に経ったのは、ハーバード大学ケネディ・スクール・オブ・ガバナンスの教授ロナルド・A・ハイフェッツである。
彼自身は、バイアスがあると自重気味に表現するが、彼の理論の根っこには次のようなものがある。一つは、多くの問題の背景には、複雑な相互作用のシステムが存在していると捉えること。もうひとつは、行動様式のかなりの部分は状況への適応を反映していると考えること。「社会的適応という詞は、私たちの価値観や目的に沿って、うまく問題に取り組んでいけるように、組織的、文化的な能力を開発していくこと」と捉える。生物学でいう適応は、単に現状を受け入れたり、新たに出現した悪い環境をあきらめて受け入れる意味で使われるのではない。
第三に、「オーソリティをめぐる人間関係をサービスという要素を通して考える」という。これには、説明が必要であろう。彼はオーソリティとは信任であるという。専門知識を持っている分野で人々が問題を解決するのを手助けすることがオーソリティの役割だが、直面した何らかの問題が許容範囲を超えて、付与されたオーソリティの範囲を超える場合、その人に対する信任の基盤も変化さぜるを得ないということになる。さらに、サービスという考え方は、実用と処方の両方の考え方を同時に持つ事を意味するという。たとえば、会社の社長が自分の力の喪失を訴えた時、「影響力を高める」方法をアドバイスするのは適切ではなく、それは彼が組織にとってやっかいな問題を持ち込んだために、孤立に追い込まれていると考え、問題をとりまくより大きなシステムのなかで分析し、処方する必要がある。
彼は「人々の防衛能力は尊敬に値する」という信念を語っている。逃避していると思われるものも、適応への彼らなりの努力を示しているからだ。精神療法では、苦痛に満ちた状況を直視し、新しい姿勢と行動様式を見いだすことによってうまく環境に適応する。幻想と現実を区別することを学び、こころのうちの葛藤を解決し、過酷な出来事を正しい見方で捉えることを学ぶ。
第一章 リーダーシップに含まれる価値観
「リーダーシップとは、コミュニティがリーダーのビジョンに従うように影響力を及ぼすこと」と「コミュニティが自分たちの問題に取り組むよう影響力を及ぶすこと」。前者では、影響力がリーダーシップの物差しになる。コミュニティは彼を頼りながら問題に立ち向かう。責任は彼に帰す。しかし、一方の後者のリーダーシップのイメージー人々を動かして、難しい問題に取り組ませるーが彼の言う心髄である。ビジョンを示し、影響力を及ぼして、非強制的な方法で実現することを意味する。
リーダーシップ論は、偉人の性格的特徴に解を求める「特性論」にはじまり、ハーバート・スペンサーのような社会的運動の渦自体に興味を持つ「状況論」に展開。その後、合成とも言えるいくつかのアプローチが生まれ「必要条件論」などが生まれた。間もなく、研究の領域は、リーダーと従者間の相互作用に着目した「取引論」へと焦点がシフトした。この四つの一般的なアプローチについて、彼は「価値判断を除外してリーダーシップを客観的に定義しようとしたものであるが、実際には価値観のバイアス(偏り)を暗黙のうちに持ち込んでいる」と指摘する。価値観を無視して、影響力や高い地位を語るなら、単に「傑出度、権力、影響力など、因果関係の力学を単純に描いた方がいい」と、その指摘は明快だ。そこで、彼は価値観を考慮に入れたリーダーシップの定義をしようと提唱する。
ロンドンにZZA Ltd.という企業がある。ワークプレイスのデザインを行う会社だが、「働く場」に対する興味深いコンセプトを持ち、世界的なムーヴメントとなっている The Hub のデザインにも関わっている。
ZZAの創立者であり、Directorであるジオナ・ストレリッツ氏は次ののように語っている。
SkypeやFacetimeの登場で、人々は場所の制約から解き放たれ、より自律的になり、つながりあうことが簡単にできるようになっている。それでも、自宅や移動中に満足のいく環境で働くことはできていない。はやりのサードプレイス(スタバなど)であっても問題がある。騒がしいとか、混在しているとか、予測できないなど。
私たちは、21世紀のワークプレイスには次の四つが求められると考える。「コネクションの最適化(ビルの可能性を最大限に引き出す)」「コミュニティ」「コンフォート(空間のクオリティ)」「チョイス(どこで働くかは気分次第)」。つまり、「自分と同じような人々と働きたい(Aligned Culture)」という気持ちや、「訪れる前にどんな人がいるのかをあらかじめ知っておきたい」という気持ちに応えることが必要だ。
イノベーションの源となるのは、組織の文化だ。組織が革新を志向するなら、Mixed Use(職住食学など)により利用者のダイバーシティを高めたり、多様なワークモードを支える場のセッティングを提供したり、オープンな知識共有の仕掛け(ソーシャルネットワークだったり、お茶を用意することだったりするだろう)が必要だ。
日経BP記事に、お客様へのおもてなしの場づくりを通じて、お客様との関係性進化と、社内の横連携コミュニティ構築を仕掛けたというニュースを発見。
主体者は、「内田洋行傘下のデザイナー集団組織『パワープレイス』に所属する、マーケティングの専門家、デザイナー、ITアーキテクト、約20人」とのこと。
クラウドによって、バーチャル場の可能性を探る議論が高まっているけど、バーチャル場が広がれば広がるほどリアル場に意味を持たせようという動きが同時に高まる。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130916/253428/
先日の日経BP記事で、カルチュア・コンビニエンス・ストアの増田さんが語っていた「パッケージビジネス、つまり、本とかCDとかDVDの未来を問いたかったんだよ。本屋に未来がないとかさ、CDに未来がないとかさ、みんな言うじゃない。全部ネット通販になっちゃう、全部ダウンロードビジネスになっちゃう、ってね。でも、俺は全然そんなことないと思ってた。だから俺自身が証明してやろう、やり方はあるんだぞっと。だったらいっそ、繁華街でも、駅前でもない。今まで誰も本屋さんをやってないようなところで、あえて開いて、お客様を集めてみようと(代官山のT-Siteについて)」と同じにおいがする。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130904/253006/?P=1
Inspired by TED
「JRの作品、どこかで見たことがある・・」そう直感した。多分どこかで見かけたことがあるはずだ。刺激的で、クリエイティブ。そう感嘆した記憶がある。だけど、「私も彼のプロジェクトの一翼を担おう」という可能性にまで思いが至らなかった。
フランスの街をジャックした彼のポスターは、衝突を繰り返すフランス人とイスラム教徒の写真を並べて貼り出すというものだった。多くのフランス人が写真を見比べて、どちらがどの国の人間なのか分からないねと言って、首をすくめていたという。
彼のやっていることを見て、二つの反応があるという。一つは、「すばらしい活動だ。イラクやアフガニスタンに行ってこの活動をするといいよ」というもの。そしてもう一つは、「なにか私たちに手伝えることはあるかい?」。
私も後者の人間でありたい。
Inspired by Nikkei News 20120730
今日の新聞では、社説に企業欄に経済教室に、脱・日本型雇用をうたう記事が複数掲載されている。日本型雇用とは、何であったのか。
新卒段階から長期にわたって社員を雇い、必要な技能や知識を備えた人材を自社で養成するのが日本型雇用だった。若手や中堅のときは賃金を抑え、その後厚くする年功制は、時間をかけて熟練の労働者を育てるのに役立った。長期雇用を通じて会社への帰属意識も高めることができた。
グローバルな人材登用の必要性、マネジメント体系の国際標準化などが進めば、内製型の人材育成、登用は限界を迎えている、評価や処遇、育成の基準をグローバルに統一化する動き(P&Gなどは90年代から導入)をフォローする必要がある、というのが全体の基調だ。
日本型雇用の限界は以前から指摘されながらも、経済の低迷にも解雇ではなく、組合とも協調して時短や賃金抑制で対処して日本的雇用を守るという、コア労働者保護の雇用政策により、ダイナミックなシフトは起きていない。「日本的雇用は、企業が労働者に企業特殊的技能蓄積を促すため、年功賃金と長期雇用のパッケージを提示し、それを信頼して新卒の労働者が参入することに貢献する」というメリットを強調する論調も強い。
しかし、低成長下となり、企業特殊的技能の収益性が低下している昨今ような環境では、「企業が年功賃金のコミットメント(約束)を放棄して中高年の賃金を抑制する誘因が大きくなる」という。約束の反故が散見されるシステムを維持することは困難だ。今後は、三つの視点から、新システムを構想する必要がある。
事業のグローバル化について、昨今では本社を日本に置く必要があるのか?という点が問われ、「顧客の近くでビジネスを行う」ことが良しとされて、世界各地に本社を置く企業もある。この点について、Harvard大ジャン・リブキン教授は、調査の結果、「顧客に従う」「賃金が安い」と安易に国外への移転を検討されるケースも多く、進出先で生産性が伸びずに悩むケースが多い点を指摘。
国内での改善も視野に生産性を見直すことが、国際戦略の成功にも欠かせない点を「『家の中にとどまれ』ではなく、まず『家の中を良くせよ』」と表現し、「企業はグローバル化の速度ではなく、全体の最適化を競う。米政府は国内を『企業に選ばれる場所』に改善する政策を進める必要がある」、と政治的見地からも主張している。「オフショアよりもニアショア」と国内本拠地の近傍に集積するという戦略も注目に値する。
世代間の格差については、経済教室の一橋大堀雅博が行った、「ねんきん定期便で開示された行政データの活用で、従来よりも高い精度での生涯賃金推計調査」からの指摘が興味深い。「製造業の大企業で正規職員として働く大卒・ホワイトカラーの男性労働者の生涯勤労所得は、70年代半ばに働き始めた世代以降ほとんど増えておらず、特に00年代以降に就職した世代では先輩世代に比べ最大で3割も低くなる可能性がある」という。
この手の分析で注意しなくてはならないのが、世代間の格差の是正という、ゼロサムの再配分ゲームに終始することだ。若手学者は、「世代間の格差を問題指摘するのは、実は若者ではなく、中間にいるミドル層」と見ており、実際に若手は「製造業への依存、正規/非正規という区分の温存などの発想そのものを疑って、今後を描くべき」とより大胆な転換を思想としても求めている。
ただし、このような世代間の状況の違いをふまえて、既得権益の存在により、歪んだマインドセットを生成させていないか、チェックすることは有効だろう。
女性の活用という点については、総合・経済面の「働く母、経済成長のカギ」記事が指摘しているように、眠れる日本経済の活力源をどう活かすかは大事な議論のように思う。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事による、6日の都内での講演は働く母を元気づけるメッセージだ。
「非常に高い教育を受けた女性は、未発掘だがすばらしい資源だ」。日本の女性の労働参加がほかの先進国並みに進めば、日本の生産力は30年までに最大25%増えるとの試算を披露した。
本記事では、保育所の充実をうたうが、ハードウェアの充実だけでは十分でないし、保育所の不足は都市部周辺に限った問題であるとの指摘もある。先ほどの「ニアショア戦略」の発想を取り入れ、地域での雇用創出が解となるケースもあろう。
また、潜在力という点では、「働く母」がどう労働市場に復帰するかが切り口となるが、低成長下で生涯賃金が下がるなか、夫一人で四人を支えるモデルから、夫婦二人で五人(両親を含む)モデルへの転換を切り口にすべきとの議論もある。家族像の変化も、雇用モデルの在り方を変える要因となる。
本稿では、日本型雇用を見直す視点を発散的に提示するという段階で閉じたいと思うが、今後、複眼的に未来の姿を検討する挑戦を続けたい。
Inspired by Nikkei 書評 20120701
「ネットが変える社会運動」書評欄(恵泉女学園大武田教授)より引用。
昨今日本でもデモが散見されるようになった。『デモとは何か』は、デモに関する歴史をたどっている。60年代安保反対運動の中心にいた丸山眞男が「(衆参議)院外」の直接民主主義行動とみなしたデモが分水嶺に至ったのが、80年代。 デモを支えるに二大勢力だった、労働組合は新自由主義政策のもとに弱体化し、大学生たちは消費社会化の流れに飲み込まれて、脱政治化をとげた。 こうした旧来型デモと入れ替わるように新しい社会運動が育まれる。左派イデオロギーから離れて、消費社会の中でも様々な矛盾への意義申し立てが行われる。 インターネット、ソーシャルメディアの広がりにより、人々が自ら発信する機会が増えた。参加者の輪が広がる一方で、匿名性と移動性の高さから、言いっぱなしややりっぱなしの無責任な言動もあり得る。 デモは建設的にして批判的な社会運動であり続けられるか。その問いは、20世紀初頭の二人の社会学者の間の論争を想起させる。 「特定の場所に集まって声や身振りで情報交換する群衆は暗示にかかりやすく、衝動的で非合理な存在」としたル・ボン『群衆心理』と、「メディアによって情報を共有する理性的な公衆の登場」を期待したGタルド『世論と群衆』。 人間は集団となったときに、力を合わせて自分たちの未来を良きものに変えるだけの知恵を備えているか、それが常に問われ続けている。
なるほど。本稿では、昨今のソーシャルメディアを活用した発信の動きについて、『動員の革命』(ソーシャルメディアを通じて、各自が違和感を発信し、それがリレーされて具体的な問題解決の行動に駆り立てる様子を紹介)、『ストリートの思想』(大学や論壇から、美術や音楽を通じて政治に関わろうとしたストリートを公共圏として活用した芸術家の存在を紹介)、『スペクタクルの社会』(新しいデモのスタイルとして、音楽をならして踊るサウンドデモのような、祝祭性が高く、見ていても参加しても楽しめるデモの様子を紹介)などが取り上げられている。
http://matome.naver.jp/odai/2130899017379563201
にわかに注目を集めるTED。そのなかでも注目の映像を厳選してくれています。
今朝は、WHY-HOW-WHATの関係性について語っているストーリーを見ました。自分たちがやってきた道が正しかったんだと勇気づけられるとともに、もっとCrazyにWHYを徹底する姿勢が問われていると刺激を受けました。
ゲーミフィケーションとは。単純な定義をおさえるとこのようになる。
他の参加者と競ったり、アイテムを集めたりするゲームの要素を、集客など別の課題の解決に使う手法。楽しんで続けられるようにすることで、利用者のつなぎ留めや増加を図る。
航空会社のマイレージシステムのように、より多く集めたい潜在意識を使って、利用者の消費を促すのもゲーミフィケーションの一種。海外では高速道路のスピード違反を取り締まるため、制限速度以下で走った車の運転手を対象に、金品があたる「くじ」をつくった例もある。
企業内部の生産性を高める仕組みにも活用されている。米国では業務活動をゲーム形式で点数化し、社員のモチベーションを高める試みも取り入れられている。提供するセールスフォース・ドットコムは「今後3年で企業の利用が増大するだろう」とみている。
Revered from 2011/10/12 Nikkeinews
このブームの仕掛人はなんと女性ゲームデザイナー。ジェイン・マクゴニガル氏は「幸せな未来は『ゲーム』が創る」(早川書房)を通じて、「世界中の人々は、もっとゲームをするべきであり、そのゲームの内容を現実世界とつなぎ合わせるようにデザインすることで、ゲームを通して日常生活から未来まで、世界をよりよく変えていける」と論じている。
ゲームが持っている力を、仮想世界のみに費やすのではなく、ゲーマーが獲得している新しい能力を、現実の問題の解決のために利用できるようにするもので「代替現実ゲーム=ARG」と呼ばれる。ゲーマーの能力を引き出せるゲームをゲームデザイナーが創ることで、現実かゲームかという、どちらかの問題ではなく、両方を統合してよりよい世界に変えられる方法があるとする。
家事をするとポイントが集まる「Chore(雑用)Wars」などの日常生活を対象としたものから、今までの組織論を超えた組織像で複雑な社会問題を説くゲームプラットフォーム「スーパーストラクト」まで幅広く、ARGの応用が広がっている。
スーパーストラクトとは、参加者が2019年にいると想像し、23年後に人類が破滅する可能性があるいう状況下で、その問題をどうすれば解決できるのかということを考えることを促す議論ゲームだ。
病気、飢餓、電力をめぐる争い、テロ、環境といった不安定で複雑な問題を解かなければならない。2019年の自分の仮想の略歴を作成し、自分の能力がどのようになっているかを想定して、他のユーザーと共に議論に加わる。
大きな危機に対抗するために今までの組織の常識を超えた「スーパーストラクチャー」という組織を作らなければならない。これは既存のどんな組織にも似ていないもので、活動規模が過去にない組み合わせによって構成していることが求められる。しかも、問題に対して、的確に対応しなければならない。
すぐれた提案や、他のユーザーへの協力によって、サバイバル力ポイントが貰えるようになっている。このポイントを通じて、お互いが競い合い、そして、協力して作業することが推奨されている。全世界9000人あまりが6週間参加し、プレイヤーが語ることで1000以上のストーリーを生み出し、未来予測レポートを何十本も書けるほどの大量の資料が集まったという。また、19人のプレイヤーがゴールとなる100ポイントに到達し、現在もシンクタンクと共同作業を続けているという(Refered from Nikkeinews 2011/10/19)。
マクゴニガル氏は「ゲーミフィケーションを機能させるには4つの要素が必要だ」とする。。(1)自ら達成したいと感じさせるための「しつこいまでの楽観性」、(2)あまり負荷をかけずに新しい能力が得られていく「至福の生産性」、(3)ユーザー同士が自分の居場所を確かめられて、それが次のモチベーションを生み出す「ソーシャル性」、(4)未来や世界といった壮大なスケールを持ち、関わることが楽しくなる「ストーリー性」――。これらを組み込むことで、ゲームユーザーに自らのプレーに対する責任を感じてもらえるようになるという(Refered from 2011/3/31 Nikkeinews)。
2011/8/10 7:00日本経済新聞 電子版
「ソーシャルゲーム1.0」が終わったならば、「2.0」とはどんなものなのだろうか。
チャン氏は「生活に密着して入り込んでくるようなゲームシステム」という。これは「ゲーミフィケーション」とも呼ばれ、ゲームのノウハウを人々の日常的な活動に応用するサービスの分野に広がっていくものだと定義した。その上で、「ゲーミフィケーションは、ユーザーの忠誠度やCRM(顧客管理)、ユーザー行動の分析のツールをきちんと持っているものや、人気のソーシャルゲームが持つ要素と同じものが組み込んであることが重要になる」と指摘している。
具体的な例として、NVPが投資している「脳トレ」を学問的に応用しようとしているサービスのlumosityや、心拍計などを組み込んだ時計を通じて健康を管理するサービスのbasisや、実際にギターをスマートフォンで学べるようなゲームを開発しているRockProgidyを紹介した。
また、社会行動を変革するためのゲームも今後の注目を集めていくだろう。たとえば、このようなストーリーにワクワクするのではないか。
ゲームのプレーヤーは、2020年に社会が直面する危機について解決案を模索して、他のユーザーと議論や協力をしながら現実世界でできる行動を考えるように促される。テーマは「食の安全」や「電力不足」など週単位で変わり、解決策や2020年の予想、現実世界で実行したことなどを投稿していく。投稿内容には他のユーザーからポイントが付き、自分のアイデアへの評価を知ったり、相対的な位置づけを理解したりできるようになっている。
このゲームは10週間続き、世界130カ国・地域以上から1万9893人が参加した。ゲームをきっかけに、フィリピンでは初等教育に取り組む企業が生まれ、南アフリカでは貧困層の子育て環境を改善する取り組みが始まるなど、発展途上国を中心に20以上の社会プロジェクトが立ち上がったという。
今後の応用先として注目を集めるのは、TV広告の代替である。
一部の大企業はオンラインゲームの利用者急増に着目。同じようなゲームが自社運営のサイトで遊べるようにすることで、閲覧者を増やそうとしている。「企業によるゲームのオンライン配信は、制作する側にとって魅力ある新たな市場」(YourGamesの黒木涼平取締役)という。
スマホで遊ぶゲームをつくったパンカク(神奈川県藤沢市、柳沢康弘社長)は「スマホでゲームを楽しむ人が増えている。ゲームはテレビコマーシャルに代わる集客や広告の手段になりつつある」(柳沢社長)と指摘している。
Refered from 2011/10/12 Nikkeinews
これらの「ソーシャルメディアモニタリング」や「口コミソーシャルマーケティング」などと呼ばれている新しいマーケティング仕組みはユーザーの行動を正確に把握し、企業が顧客との長期的な関係を築くという点で、この手法は面白い。
ゲーミフィケーションの著者、GLOCOMの井上氏は「測るテクノロジーが普及することでゲームの展開が日常のありとあらゆるところに浸透してきた」と述べている。「ゲームにしやすいのは数量としてカウントしやすい物だ。ソーシャルゲームは友だちの数を数値としてカウントできるSNSというプラットフォームの上でこそ、初めて機能した。電気使用量、消費カロリー量、家計簿、体重の増減など、人の生活のなかには、実はカウント可能なものが数多くあふれている」と語っている。
どんな行動をカウントし、社会の善行動を増やしていくのか。そのデザインは私たちの市民精神にゆだねられている。
プロボノとは、
日経BP記事
プロボノ(pro bono)という新しいボランティア手法が注目されている。「知識労働者が自分の職能と時間を提供して社会貢献を行うこと」を意味する。元々は弁護士などの限られた業界で一般的だったが、「知識労働者とNPOとを結び付けてNPO支援を行う」というマッチングシステム(NPOタップルートによるサービスグラントなど)が考案されたことから、マーケティング、広報、人事、デザイン、システム開発、営業、プロジェクトマネジメントなど、幅広い分野の知識労働者がプロボノ活動に取り組めるようになった。
プロボノは「pro bono publico」を略した英単語。ラテン語を語源とする形容詞だ。直訳では「公益のために」(for the public good)程度の意味になる。一方、実際の意味は「公益のために無償で仕事を行う」ことを指す。公益の無償奉仕といえば、ボランティアが思い出される。このボランティアとプロボノとの違いは、従事者の職能を生かすかどうかにある。
また、「受益者」であるNPO、「サービスの提供者」である知識労働者、そして「資金の提供者」である私設財団の三方に利益をもたらす仕組みとして注目を集めている。受益者であるNPOにとっては、高品質の成果物が得られる意義が大きい。プロのデザイナーが手掛けたパンフレットを配布すれば、信頼感が高まる。この信頼感が、最終的には寄付金の増加、活動の認知などにもつながる。また、プロジェクトを通じてプロの仕事に触れることで、そのノウハウをNPOの内部に取り込める意義もある。
サービスの提供者である知識労働者にとっての利点も多い。まず自分の職能を生かせる上、空いた時間を有効活用できるため、ほかの社会貢献にくらべて間口が広く参加しやすい。またプロジェクトを通じて新しい人脈ができることや、対象NPOの活動内容を勉強できることも意義深い。これが将来、本業にフィードバックできる可能性もある。
また資金の提供者である私設財団にとって、このシステムは効率の良い投資対象となる。例えば同じ金額を、対象とするNPOに単純に寄付する場合と、タップルートのプロジェクトに寄付する場合とでは、後者の方が明らかに高い品質の成果を得ることができるのだ。
同様の仕組みを提供する動きとしては、「The 1%」(米国建築家とNPOをマッチング)、日本ではNPO法人のサービスグラントのマッチング、企業ではNECやBCGコンサルなどが、プロボノ活動と企業の社会貢献を結び付けようとする動きを広げている。
Inspired by Nikkeinews 20110326 乃南アサ
今こそ、誇りを取り戻すとき。今こそ、看過していた矛盾と向き合うとき。今こそ、今こそ、そして、今しかない・・・。決して、被災後の行き場のない無力感を制御できていないのではない。本当に今だからこそ、今しかない、自ら考え、行動する姿勢とは。
高度経済成長期以降、衣食住が満たされ食べるために必死で働くことをさげすむような風潮が生まれた。生き抜く理由がわからない。生きる力は落ちている。
「今の人は人生に快楽を求め、ごほうびがないと頑張れない。生き方が多様になり、テレビや雑誌で成功者を見ると、もっと別の生き方があったんじゃないか、自分は貧乏くじを引いたのではと思う」
「自分の生き方に満足していると、つまらない人と言われる。かつてはモノが増えることが幸せにつながっていた。今は何が幸せかもわからない。ぼんやりとした不幸せ感が社会をおおっている」(乃南アサさん)
そう、私たちは、これまで常識として受け入れていた矛盾、違和感と向き合い始めている。乃南さんは、これまでの時代の気分を断ち切るのは、生存本能を揺さぶるような非日常体験だという。
「阪神淡路大震災やオウム真理教事件の時に、もしかして変わるのではと思ったがすぐ元に戻った。しかし巨大地震に原子力発電所事故という大災害に遭遇して、今度こそぬるま湯につかっているわけにはいかない。ホンモノの世界で大変な事態が起きているのですから」
そう、日本人は忘れやすい。同じ失敗を繰り返すまいという意思と、ただ元の世界に戻るのではなく本来めざすべき世界に立ち戻ろうというしつこい働きかけが、「今」こそ、そして「今」のうちに、求められている。
Inspired by Nikkeinews 20110328 経済教室
武蔵大黒坂教授は、「国際収支の発展段階」という考え方を引用し、米国のような債務国がある一方で、日本は19年連続の世界最大の債権国であることの意味を説明してくれています。
経済発展の初期段階では一国の生産水準が低いために貯蓄が少ない。他方、乏しい資本ストックを増強することで高い投資収益が得られるため、投資機会は豊富に存在する。国民経済計算の枠組みでは経常収支は貯蓄と投資の差額に等しくなる。したがって、貯蓄よりも投資が大きい状況では経常収支は赤字になる。
経済発展のプロセスで投資により資本蓄積が進行すれば、生産が拡大するにつれて貯蓄は増大していく。同時に、資本ストックの希少性が低下して投資収益は減少するので有利な投資機会が枯渇する。その結果、経済発展が高度な段階に達すると、貯蓄が投資を上回り経常収支は黒字となる。この経常収支の黒字の累積が対外純資産の蓄積をもたらすのである。経済発展の段階に応じて貯蓄・投資のギャップが変動し経常収支の黒字・赤字が決まるという考え方である。
本記事から分かるのは、
Inspired by Nikkeinews 20100325 経済教室 中西寛京大教授
今回の不幸な大震災は、日本人が誇りと自信をとりもどすきっかけともなっている。冷静に対処し、秩序を守り、必死に他人を救おうと努力する日本人の姿が世界に与えた驚きと感銘、日本に向けられた支援こそ、「技術大国」のイメージよりもはるかに日本の強さをアピールした。
大災害のときに示されたよき精神を持続させ、巨大な損失から立ち直り、未来に向けた建設へと結びつけるのは政治、経済、知識の指導者の使命である。
英国の歴史家アーノルド・J・トインビーがかつて指摘したように、国家や文明は戦略や天才によって滅びることはなく、滅びるのはそうした挑戦への応戦力の喪失の結果によってである。今回の災害や日本社会の耐久力を示した。それを未来へつなげるのは、社会各層の指導者の役割である。
中西先生のメッセージ、いいですね、心に響きます。
中西先生は、基礎構造が大きく変化したポイントとして下記をあげています。
失われた20年の間に、東京一極集中による日本再生のシナリオがあること、ご存知でしたか?2000年代には名古屋が元気だった時期もあるし、東京にいるから気付きにくかった・・・ということもあるでしょうか、中西先生が指摘するように、「都市優先政策の裏返しだった地方保護政策の見直しが必要」という指摘には説得感があります。
今回、被災している地域が神戸の被災地と異なる点は、この保護政策化下にあった地方都市が多いということ。自立的な財政計画を立てにくい地域が経済負担を余儀なくされていること。被災地復興にむけて、「緊急補助金の積み増し」ではなく、「自立化にむけた裁量権の委譲」進むことを切に望みます。
Inspired by Nikkeinews 20110322 経済教室 堺屋太一氏
堺屋太一氏が、非常事態策の手順を整理して示してくれている。原発の不安が続き、未来にむけた議論が生まれにくいが、潮の目や時勢をみることも大事であることを教えてくれる。
今回のような災害非常時対策には、救助―救済―復旧―復興―振興の5段階がある。いまだからこそ、長期的な視野を持つ必要があり、けっして方向を誤ってはならない。
具体的な段階については、下記のように説明を加えてくれている。その上で、今後重要となるのは、横断的な会議体。その特徴として、三つをあげている。
復興院の設置がその解の一つであるが、政府に限らず、横断的姿勢、短期を忍んでも長期の利を求める説得力などが求められるタイミングではないか。民間でも、勇敢に過去の利害にとらわれない、非難を恐れず周囲を説得するリーダーが活躍できるよう、環境を整える必要がある。
下記は、非常時対応の五段階の詳細––––––––––––––––––
救助:震災発生から初動の約10日間
非常時の5段階は「軽いものから先に」が原則とされる。最も急ぐ「軽いもの」は情報だ。人命を救助しようにも、原子力発電所のどこが損傷しているのか把握しようにも、さらには避難した被災者が生活を維持しようにも、情報がなくてははじまらない。
携帯電話やインターネットで情報が簡単に手に入る世の中で、非常時の情報収集がいかに難しいかという視点が忘れ去られていた。まずなすべきだったのは、上空から被災者の有無を確認、通信機器を持った消防・自衛職員を配置することだった。
第二は、飲料と医薬の配布。ついで緊急の食料である。その次が燃料と衣料、それから第三が安全な生活空間の準備とそこへの搬送、そして仮設住居の提供となる。
救済:震災後約一ヶ月間
道路、水道、衛生、電力、ガスなどのライフラインの応急修理を急がなければならない。大事なのは速度。最低限のライフラインをつなげるリミットは1カ月以内。1964年の新潟地震では、全国から消防ホースを集めて飲料水を配給した。95年の阪神大震災では、大阪からオートバイで食料を運んだ。1回60キログラム、1日2往復。それでコンビニが開けた。
復旧:一ヶ月後
水道、道路、電力、鉄道などを旧(もと)に復すとともに、店舗や飲食店を再開させ、日常生活を復元させることが必要だ。
また、この段階では精神的安定やコミュニティーの再建創造が求められる。それには楽しみと希望を創る視点も必要だ。救済復旧には地域や家族の立場で差があり、「それどころではない」との感情も出るだろうが、社会と人心の再生には、明るい未来の姿も想起することが大事である。
復興・振興にむけて:
特に今回は、原子力発電所の事故発生で、東日本全体に長期にわたる電力不足が生じるだろう。ここで電力をどこにどのように優先的に配分するか、その順位付けをするのは重大な問題である。ここでは、利にこだわらず情に流されず、経済社会の合理的な総合判断が必要だ。日本の財政・経済はもちろん、国民の士気やこの国の多様な文化性をも考えねばならない。
この順序をどう選択し、その合理性を国民に説得することこそ、復旧から復興へ、そしてさらなる振興・発展へと展開していく過程で、最も重要かつ困難な仕事である。
Inspired by Nikkeinews 20110311
人口転換は経済や社会の近代化に伴う減少。経済・社会が近代化すると、死亡率が下がる。一方、近代化以前の出生率は社会の存続のために高水準であり、近代化後もしばらく続くので、低い死亡率と高い出生率の組み合わせにより、人口が急増する。すると出生率が下がって、人口暴走を防ぐ。ただし調整の時期やペースが異なる。 ポールドメイン氏(米人口評議会特別研究員)
キャリングキャパシティの考え方は、すでに理解していたが、日本の特徴としてドメイン氏は「人口調整期の死亡率の低下、出生率の低下が並外れている」と調整カーブが急激であることを指摘する。欧州でも、差し迫った人口減少の対処に必死で、多くは大量の移民受け入れにより対応している。
さて、日本はどうするのか。やはり、「子どもをもつ費用便益で不利になる」(子育ての費用+機会費用(女性の場合の逸失賃金、昇進機会の縮小))「所属や富の分配において若者が不利益を高無視、世代間格差が生じている」という現状を打破するしかないのではないか。
この意識を高めるために、ドメイン氏が提案する抜本的改革とは、「子どもに投票権を与えよ」というもの。もちろん、その代理として父、母が投票するということであるが、「活発な国民的論議を幅広く起こし、これまでタブーとされてきた世代間格差の問題も徹底的に論じる」契機にはなりそうだ。
Inspired by Nikkeinews 20110320 中外時評「3.11とわれた日本人」
3月11日2時46分。
この前後で変わったものは何であるのか。マンタリテとは、社会史の用語で、ある時代の、ある集団の人々が共有する心の動きやものの感じ方をさすものだという。今回の災害は直接被災した東北地区だけでなく、帰宅難民化し余震の恐怖のなかで一夜をすごした人など、広範囲のさまざまな人々が共通体験を持つことになった。
虚無感。
本記事を書いた、大島論説副委員長は、今の気分をそう表現した。3.11以後の一週間、私自身が格闘していたのは、この虚無感だったと思う。この一週間、わたしたちを包み込んだ虚無感は何であったのか。
「3.11前には予想もしなかった難儀だ。元気を失ってはいても、またしばらくはこの国の間延びした豊かさと平穏は続くのだろうと漠然と考えていた。それがあの日を境にガタリと崩れた」(本記事)。一方では、間延びした豊かさを取り戻し経済活動を止めないことが震災者のためにもよいはずだという主張があった。
同時に、ある一方では食料や燃料、電気の不足、計画停電や原発報道によって緊張感が続くなか、、自宅待機指示のために自宅PCに向かい、なにか被災地のためにできることはないかと思いめぐらせても、今は専門家に任せるしかないという常識的助言の前に自力の限界を痛感した人も多かったのではないか。
この虚無感と格闘した一週間・・。多くの人にとって厳しい時間であったが、この時間が育んだ「新しい時代のセンス」の根は、惨禍の後に大きなエネルギーとなって芽を出すことだろう。3.11の前に当たり前だった豊かさを疑い、被災体験のなかで心の支えとなった共生の力がこれからの原動力であることを多くの人が信じるようになるだろう。
おちまさと氏は、自身のblogで「価値観の扉を開いた日本人」と語っている。まだ、低解像度でしから見えてこないが、多くの人が注視している3.11以後の日本人のマンタリテをしっかりと見極めていくことから始めたい。
Inspired by Nikkeinew 20110314
秋田大島沢准教授によれば、「現在世代の負担が軽いほど将来世代の負担は重くなり、現在世代の負担が重いほど将来世代の負担が軽いというゼロサムゲーム的な状況(ある世代が得をすれば、必ず損をする世代が存在する)がある」のだそうです(政府財政は破綻しないという前提で)。
とくに、「目に見える債務(いわゆる一般政府の債務残高900兆円など)」だけに注目するのではなく、「目に見えない債務(給付が政府によって保証された年金、医療保険、介護保険などで未給付だが要件を満たすようになると将来確実に発生する債務)」も考慮が必要。その視点で、世代間格差を島沢先生が試算してみた結果が、この表です。55歳を境に租税負担と受益額のバランスが逆転。50歳より下の世代が純負担世代ということになるようです。
これから生まれてくる将来世代の生涯純負担額は1億559万円である。(中略)将来世代はいかに過大な負担を将来世代に押し付けているかが分かる。この結果、将来世代は新生児世代に比べて529%(6倍強!)も余分に負担しなければならない。
WOW!6倍ですって?!国際比較でも米51%、独92%、仏47%、伊132%、加0%、スウェーデン-22%と、日本が異常な水準であるといいます。
島沢先生は格差是正策の効果を下記のように試算しました。
つまり、財政構造や社会保障の受益負担構造の改革を行わなわず、マイルドなインフレだけに頼るだけでは微小な変化しかない。しかし、上記の状態が同時に実現されれば(この点は少し楽観的な試算に思われますが・・笑)、9割近くを解消することが可能だということです。
「将来世代への先送り」を肌で感じさせる指標です。年配者を大事にする儒教の国でも、6倍の荷物を将来世代に背負わせるわけにはいきませんよね?!
Inspired by Nikkeinews 2010.10.18 経済教室
サーチ理論とは、従来の取引論(ワルラスの一般均衡論的な取引)と何が異なるのか。分権的取引は、ワルラスが想定したように取引関係者が一堂に会して交渉やオークション取引するのではなく、個々の取引関係者がそれぞれに回を重ねて会い、交渉することである。
ダイヤモンド氏が示したこの理論を労働市場に応用し、成果をあげた。
成果とは、失業と欠員が同時に存在することはどうしてもさけられないという事実を発見したことである(雇用にミスマッチ:求職者と求人企業がお互いにサーチ活動を行い、うまくマッチすればよいが、手間とコストがかかるので(能力開発や別拠点への移動など)うまくマッチせず、労働市場の調整機能に摩擦が生じるため。摩擦的失業、ミスマッチ失業、構造的失業と呼ばれる)。
また、これを前提に、多くの有用な命題を提出したサーチ理論。とくに、景気後退などのショックによって企業の売上が減少したとしても、来機構の生産性や売上高の回復が予想できれば、今期は労働者を解雇せずに雇用継続する(レーバーホーディング労働保蔵;日本企業の終身雇用、雇用調整は時間外勤務で行うモデル)考え方を説明したのは大きな成果である。
また、失業保険を充実させると、失業期間、の長期化、失業者の増加を生み、失業率が高くなる可能性があることを示したことである。
イギリス、オランダ、北欧諸国は、この理論を政策に応用、求職者や求人企業は相手がどこにいるか分からない、または技能が不足しているから仕事にありつけないという点を命題とし、就職情報の共有や技能向上政策を進めた。技能訓練、職業紹介、雇用創出策、ワークシェアリングなどの推進により、雇用機会を増加させ、失業率を下げることに成功した。
このサーチ理論は、日本で、そして企業内労働市場でも応用可能な考え方ではないだろうか。企業内にいても、成熟事業と新規事業を同時に抱えるケースは少なくない。このミスマッチをどう解消するのかは、多くの企業の課題である。
具体の政策実践でも検証されはじめているミスマッチ解消政策。この仮説検証を企業内でも応用して、展開してみたい。
Inspired by Nikkeinews
フランスの歴史家トクヴィルを驚かせたのは、あらゆる結社の存在だった。まじめなもの、ふざけたもの、巨大なもの、ちっぽけなもの、「誰もが絶えず結社をつくる」。
現代でいえば、ネットの力があらゆる階層、あらゆるテーマでの結社を可能とし、情報共有が「平等感覚」を促進する。トクヴィルはこのような状況を次のように示唆しているという。
「境遇が平等になればなるほど、人間個人の力は弱くなり、大衆の流れに身を任せるようになる」
知識ベース・ビジネスモデル・イノベーションの特徴
Inspired by Big Issue 2011.1.1号
あけましておめでとうございます。今年は祖父のお見舞いで年が明けました。病院へ向かう途中、1/2の朝からビッグイシューを販売されている姿を見て、思わず買いによりました。
本誌で紹介されていたのが、浦賀べてるの家と呼ばれる統合失調症などの精神障害を抱えた人々の共同生活から生まれた、「当事者研究」と呼ばれる取り組みです。
当事者研究とは、精神障害者が爆発(自分自身との関係や人間関係に行き詰まるなどしてストレスがたまり、人やモノに感情をぶつける行為)について、自分を見つめ直す、反省するという孤独な作業をするのではなく、ルールを破り爆発を起こした場合に、ルールを破った本人をどうするかではなく、本人の中の葛藤にまで踏み込んで、その困難のメカニズムを話し合いながら一緒に解き明かしていく−というやり方です。
向谷地生良(むかいやちいくよし)さんは、「爆発というテーマは、君自身の欠点や弱さをいかに克服するかという問題ではない。極端に言えば、世界中の爆発の仲間をいかに救出するかというテーマであり、君自身にとっても多くの人とつながるチャンスでもある。仲間と一緒に爆発を研究しよう」と、もっとも周囲が手を焼いていた爆発少年とともに本活動をスタートさせたといいます。
当事者研究には「弱さの情報公開」「自分自身で、共に」というキーワードがあります。弱さのなかにある生活の知恵、生き方のヒントに学ぼうという姿勢です。向谷地さん自身も、自己病名を「先天性物忘れ症候群あきらめタイプ」とし、子供の頃から忘れ物でしかられていたと自己開示。弱さという情報は公開されることによって、人をつなぎ、助け合いをもたらす、弱さや苦労を肯定し、みんなで共有しているからこそ、たとえ大変な失敗や困難に陥ったとしても、そこから研究しようと立ち上がっていける–。
この何度でも立ち上がるパワーを与える「研究」活動のスキームは、解のない実践知が必要な全領域に大きな示唆を与えてくれていると感じました。
当事者ワークシート 〜自分の苦労の主人公になる五つのステップ〜
- 問題と人を切り離す
「爆発を繰り返している◯◯さん」から、「爆発をどうにかやめたいと思っているのにやめられない苦労を抱えている◯◯さん」という視点/理解を持つ- 自己病名をつける
自分の抱えている苦労と症状の意味を反映した、自分がもっとも納得できる「病名」を自分でつける。統合失調症悪魔型、人間アレルギーなど・・。- 苦労のパターン・プロセス・構造の解明
症状の起こり方、行為、苦しい状況への陥り方には必ず規則性や反応の構造がある。それが仲間と共に話し合いながら明らかにし、図式化、イラスト化、ロールプレイなどで 視覚化する。- 自分の守り方、助け方の具体的な方法を考え、場面をつくって練習する。
予想される苦労に対して、自己対処の方法を考え、練習する。自分を助ける主人公はあくまで自分自身。- 結果の検証
以上を記録し、実践してみる。その結果をまた検証し、「良かったところ」と「さらに良くするところ」を仲間と共有し、次の研究と実践につなげる。研究の成果としてうまれたアイデアは「当事者研究スキルバンク」に登録し、仲間に公開する。McMedian CO.LTD
Inspired by Nikkeinews 20101011
玄侑宗久氏のメッセージが心に残ったので以下に記します。
何でもシステム化する動きが進み、医療の現場でも患者を目の前にしながら、データとのにらめっこに終始して、患者の顔色日取る読み取れないお医者さんが増えていないか。お布施の目安となる金額を知りたいと、Webで紹介される記事が出て、物議をかもした。お布施とは本来、葬儀や戒名への「対価」ではない。定まった金額がないからこそ、どうしたらよいのか戸惑う人はいるだろうが、思い悩むこと自体が大切だと思う。
禅では、人間の心が活発に働くことが大事だと考える。
システム化が進むと、あれこれ思い悩むことがなくなってしまう。心が死んでしまう。社会が変質し、余裕が失われ、逡巡するのを待てなくなってしまう。
システム化が進む背後の動きに注目せよという、玄侑氏のメッセージには、はっとさせられるものがありました。「もともと日本は性善説的だが、システム化の背後には人間は管理しなければならないというキリスト教的性悪説に傾いた考え方がある。無批判なアメリカ化により、欧米のシステムをそのまま輸入してきた結果と向き合い、そのおかしさに私たち自身が気付けるかどうか・・・、それが問われている」
Inspired by Nikkeinews ものづくり逆風下の挑戦
最近になって、日立製作所が海外の社会インフラ事業を受注するニュースが増えているように感じませんか?総合電機メーカーのなかで秀逸な技術を抱えながら、事業としての成功に結びついていないことが、市場関係者をやきもきさせていた同社ですが、uVALUE事業(ユビキタスなどの情報技術事業)がリーマンショック後伸び悩みを受け、大きく社会インフラ事業へとシフトしたようです。
ベンチマーク先をIBMからGEに切り替えたともいえます。同時に、主戦場が日本国内ではなく、海外の発展途上国であるということでもあります。
海外市場へのシフトは、総合電機メーカーに限った動きではありません。自動車産業をはじめ、2010年度は前半戦を好調に乗り切った企業も、後半戦は為替変動の衝撃を吸収しきれず、業績が伸び悩んだ企業が多いようです。
日本のものづくりはプラザ合意を行われた25年前から円高との戦いでした。しかし、「円高は長期間続く、製造原価に閉める労務費の比率が高い品目は、その工場での生産停止も検討する」(御手洗会長)などの発言に見られるように、海外調達比率が70%以上へとシフトが加速する時代の為替変動リスク対応力が問われています。
本記事では、独フォルクスワーゲンは為替変動に強い体質として紹介されています。「独国内で作るのは、ユーロ高で値上げしても海外で売れるアウディなどの高級車。一方、低価格車は東欧や中国で作る。このバランスが鍵」同社も為替フリーの均衡点に到達するために、94年には年収15%を削減、06年には2万人を減らしたといいます。
日本でも、為替フリーをめざす取り組みが広がっています。海外生産拠点を増やす動きは典型ですが、マツダのアプローチはユニークですね。小型車から大型車まで主要部品を相似形にする「コモン・アーキテクチャー(共通設計)」を導入、設計の簡素化で部品の負担を軽減し、各社に新興国並みの価格を求めて国内生産を持続する姿勢で取り組んでいるようです。
日本と海外の生産拠点のバランスという視点、国内生産としてこだわるべき産業という視点、為替フリーの均衡点にいたる過程で設備や人材のシフトが必要であるとすれば、ビッグピクチャーを手にしたうえで、考えていく必要がありそうですね。
web ゲーテに、ムハマドユヌスの対談記事を発見。彼らの考えるソーシャル・ビジネスのモデルや七つの原則が紹介されています。
七つの原則
1 グラミン・ソーシャル・ビジネスの目的は、利益の最大化ではなく、人々や社会を脅かす貧困、教育、健康、技術、環境といった問題を解決すること。
2 財務的、経済的な持続可能性を実現する。
3 投資家は、投資額を回収する。しかし、それを上回る配当は還元されない。
4 投資の元本の回収以降に生じた利益は、グラミン・ソーシャル・ビジネスの普及とよりよい実施のために使われる。
5 環境へ配慮する。
6 雇用者は良い労働条件で給料を得ることができる。
7 …楽しみながら。
Inspired by 日経あすへの話題
東洋英和女学院大学学長村上陽一郎氏の寄稿。科学には二つの顔がある。社会の問題を解くための手だてとなる顔が一つ、もう一つは、科学者がひたすら面白いと思う問題を追求する顔であるという。
もともと科学という知的な営みが登場したときには、第一の顔はなかったといっていい。古代ギリシャの哲学が自由市民にゆだねられた真理の探求という純粋に知的な営為だったのであり、その伝統の先端に科学も存在した。
いまでは、人類共通の知識を増やすという純粋な知的科学の顔は忘れ去られ、経済、産業、医療などの諸問題を解決する顔ばかりが尊重されるようになっているが、それは原子核内部の研究成果が核兵器の開発につながって以来のこと。「科学は社会のために」という定理が当たり前であるのかどうかも、時勢によって違っているということらしい。
Inspired by 日経あすへの話題
会社に成功と失敗はつきものでも、うまく行かなかった事例に意外と共通するのが「お人よし」であるという。一生懸命な部下の提案やアイデアについ温情をかける、失敗を未然に防ぐルールやシステムはあるのだが、その運用をゆだねられた人が情にほだされ、少々多めにみてしまう・・。
大事は理、小事は情をもって処す
人に理と情のどちらも必要だが、ここ一番では理が優先される。成功するには時に非常でなくてはならない。リーダーは心を鬼にして「NO」という勇気が必要だ。 勝俣宣夫
Inspired by 20101125日経経済教室
日本の実質国内総生産は、12年度中にリーマンショック前の水準に回復するが、名目GDPは遠く及ばない。我が国経済は、次のような罠に陥っている。
企業はグローバル競争下で生き残りをかけ、財務体質の改善とコスト削減に傾注する。団塊世代の退出後も、バブル大量採用世代の人件費増加圧力が経営を圧迫する。
そこで、分社化や人事制度改正などを通じ、人件費の抑制を試みる一方、家計の期待所得の低下がもたらされる。正社員は働く場の確保を優先し、反乱しない。しわ寄せは非正規社員や新卒に向かう。現役世代は将来不安を抱え、教育費を除き、節約志向を続ける。安定志向が親子間で伝承され、受験競争の低年齢化や起業家精神の後退が進む。社会の各務と認識すべき事象である。みんなが閉塞感を抱え、いすとりゲームに座るためにもがいている。
こうした状況下、各種の増税措置の不安は隠さず、ばらまきを歓迎する。政治はこれに迎合し、分配重視の政治が続く。分配には財源が必要だが、消費税引き上げは腰砕けに終わった、となればとりやすい法人税、所得税から徴収する傾向が加速する。
結局、企業が円高、高い法人税、派遣労働や環境規制の強化、自由貿易協定などの出遅れ・・・など、五十苦を抱え、国内での事業拡大を慎重にする。
すばらしい状況の解説!だが、この次の一歩を描くのは、自分たちでしかない。さぁ、いかに「いすとりゲームからいすを増やす国家的構想」を描きだすのか。
Inspired by 週刊東洋経済
2009年まで好調だったノウハウ本の売れ行きが伸び悩み、一方で根本的な世界の方向性を洞察しようという流れが生まれた2010年。様々な主張を理解する指標として、政治、経済の自由度から考えるという、馴染みやすい指標を東洋経済が提示してくれている。
政治的自由度+ 経済的自由度+ リバタリアニズム(自由至上主義)
個人の自由を最大限に尊重、国家は最小機能であるべきで再分配には否定的。新自由主義から極端なかたちでは無政府主義(ロック、ハイエク、フリードマン、ノージック)
政治的自由度− 経済的自由度+ コンサバティズム (保守主義)
経済活動への政府の干渉は抑制する一方、政治的には家父長的な伝統的道徳感を尊重。「古典的自由主義」と「新保守主義(ネオコン)」の二種類(シュトラウス、ベル、W.クリストル)
政治的自由度+ 経済的自由度− リベラリズム (自由主義)
政治的には個人の自由を尊重するが、経済的には「再分配」を重視。人類共通の「正義」を主張。宗教的に中立。「福祉国家リベラリズム」とも称され、「社会民主主義」を含む(カント、ロールズ、R.ドゥウォーキン、セン)
政治的自由度− 経済的自由度− コミュニタリアニズム (共同体主義)
リベラリズムが主張する個人の権利や正義より「善」の優位を主張。宗教も重視。現オバマ政権が近い。極端な形では「共産主義」「全体主義」。
野中郁次郎一派の私は、コミュニタリズムの思想、共通善を重視していることを改めて実感する。一方で、過去の家父長的道徳観を全面的に尊重できるかといえば、それにはNOである。鳩山内閣(共同体主義)から管内閣(自由主義)へ至ったのは、朗報かもしれない。あとは、腰を据えて新しい政治、経済のあり方を、民、官、NPO/NGOなど立場を超えて公共心を持って語り合うのみ。
Inspired by Nikkeinews 20101025 あすへの話題
壱岐湯本温泉(長崎県壱岐市)の旅館の女将、平山宏美さんが壱岐の島に嫁いで以来30年間、島おこしを牽引してきたストーリーが紹介されている。漁獲高、公共事業の減少に加え、基幹産業の観光でも高速艇が片道5000円もかかるハンデがあり、苦戦を強いられてきた。
こうした環境にめげず宏美さんは奮闘。壱岐は歴史と振興の島と位置づけ、2200年前の弥生時代の遺跡、1000社にも及ぶ神社などをいかし、島の人々と一緒にウォーキング大会、子守唄大会などのイベントを実現した。現在は、脚本家の市川森一さんや舞踏家の浅野瑞穂さん、日本子守唄協会代表の西舘好子さんらが支援しているという。
これである。場所は、その場所ならではのエネルギーが宿っている。そしてそれが独りよがりでなく、公共性の高まりでダイナミズムを持ち始めることで変化が生まれる。その運動が、どこかの誰かの運動と共鳴し合い、フラクタル構造として基盤がつながると、変化の振幅が広がっていく。
(the power of place × the dynamism of people) × the co-motion
彼女は、島の生まれではなく、嫁として嫁いできた人間だという。そして今は、彼女の長男に嫁いできた佐知子さんがネット販売で新たな商機を島に生み出している。日本は、外と内によって関係性を使い分ける人種であると言われるが、境界線にたつ人々の存在が二元論では語れない、日本のコミュニティの性格を位置づけているように思える。
「法人税は下がらない」
「CO2は25%削減が求められる」(企業の負担ばかりが先行する)
「円高は止まらない」(政府、日銀は通貨安定策を打ち出さない)
日本を出て行けと言わんばかりの三重苦。経営者としては、「日本を裏切った理由は、政府が努力しなかったからだ」そんな捨て文句をはいて出て行きたいところだろう。日本産業の空洞化、雇用機会の損失をしてもいいのか、という圧力と、国内の雇用を守るためにも持続的成長が可能な事業展開を模索するべきという圧力。
北欧のモデルを比べて、日本は経営者と政治家の信頼関係の薄さが本問題をややこしいものにしていないでしょうか。北欧では、グローバル化するとフラット化ではなくスパイキー化が進み、その国家や地域がグローバルな成長、進化に欠かせないキーストーンとなることをめざします(キーストーン戦略)。
また、戦略の実現には産官学の連携が欠かせないため、共通のビジョンや目標を達成するための協調関係が尊重されています。実際に、ドメイン間の人材流動も盛んです。
日本も、産官学の相互でプレッシャーの矢を放ち合うのではなく、共通ビジョンを描き、悩みを共有し連携して超越するチームワークへと転換するべきではないのでしょうか。
Inspired by NikkeiBusiness 20100614
リクルートグループ「昇進・昇格実態調査2009」によれば、団塊世代のリタイアで若返りが進むと思われていた組織構造は実は高齢化を続けているらしい。1970年代から成長した電機業界に多い、おしりでっかち型(本稿では変形ひし形)は42.5%となり、次に多いのはワイングラス型と呼ばれる中間層の少ない形態だ。いずれの場合も、「成果主義」「組織フラット化」「カンパニー制」の導入により、階層ごとに行われていた人材育成機能が崩壊してしまった。
ノルウェイのスーパー、リミでは経営悪化した際、30、40代の中間層に辞めてもらい、60近いベテランと20代の若手で店舗運営を任せたところ大ベテランと若手の間に「教え」を中核とした共存共栄の関係が構築された、と本稿では紹介している。
いずれにしても、膨らみすぎたバブル層の処遇(早い段階で関係会社など横に出すなど)、士気が低下している氷河期世代の処遇(そこそこで満足しがちなゆとり世代のやる気に火をつけるためにも早く管理職ポストに引き上げるなど)、それぞれの世代の処遇が鍵であると語られている。
「最近の政治は、経済界と同様に二世議員や元官僚などが増え、「政治家の創業者」が減ってしまった。たとえ批判を受けたり、支持率が下がっても主張したい自分の政策やポリシーがある、国を本気で憂うということが減って、地盤選挙区の心配するだけの政治家が増えていないか。」「指導者は、社員のとって、楽しいこと、いやなことが五分五分であっても、きちんと説明する力が求められる。」
「理解を得るために、私は温情と冷酷とよく言っている。問題はバランスだ。リーマンショック後、他者に先駆けて賃金をカットした。雇用をまもるために苦い薬を飲んでくれ、と。一般社員は5%、社長は60%などの賃下げで協力を求めた。結果的にコスト削減の効果が早く出たので、利子をつけてカット分を一部返済できた。
「全員が賛成なら政治家は要らない」「誰も文句を言う人がいないなら、経営者は要らない」
内田氏が、英語公用語化が英語嫌いをうむと、繰り返し警鐘を鳴らしている。
氏によれば、「努力と報酬の相関がみえると、脳は発動しない」「疎遠な世界を親しい世界に置き換えるとき、自分の行為を個人的に関連付けようと、知性が刺激される」という。
なぜ、こんなことをやらねばならないんだ〜、と叫びながら、やる必然を探しつつ、世界観を構築していく。
内田氏は、「謎」という間が必要だと語った。
これは、教育だけの問題だろうか。わたしは、労働の現場で起きていることも、この努力と報酬の相関に対するアカウンタビリティーに起因していると思う。
謎のない労働世界とは、成果の想定できる仕事にのみ動機づけられる世界である。
道筋の見えないチャレンジングなタスク、誰も拾わない一見美味しくないタスク。。。なぜこんなことをしなくちゃいけないんだぁ〜、と叫びつつ、どんな仕事にも「私がやることの意義」や、「私の使命」を見つけて魂を吹き込む。
そういう知性を発動する仕事のやり方はなりをひそめている。
THE BIG ISSUEより
紛争を経験した社会の多くが、その後も分裂が続いたり、新たな紛争へ突入するケースは少なくないそうです。根深い対立関係にある個人や集団が、どのようにして対話のテーブルに着き、お互いの関係改善に取り組めばいいのか、こういった研究、考えをあまり深めてこなかったのではないか・・、本記事の主役阿部利洋さんは民族的対立という難しい課題に直面した歴史を持つ南アの「真実和解委員会」の取り組みに着目しています。
裁判とは異なる新しい形で、被害者の声に耳を傾け、肯定的に受け止められる機会となる、また被害者の心境が徐々に変化すると、加害者も罪を告白することで癒しを受ける(16.4%にとどまるが、実際に特赦も行われている)。
この記事でハッとさせられたのは、以下の阿部さんの指摘。
「人々が仲直りする」「対話を通じてお互いを理解しあう」というステレオタイプな「和解」観が、そもそも素朴で実態から遊離している。南アでも当時、新政府にはお金もなく、白人の右翼は不穏な動きを見せていました。新たな紛争の火種がくすぶり、さまざまな制約がある中で、どうしたら憎しみあっている立場同士、あるいは自分がぜんぜん悪いと思っていない人間たちを高尚の緒テーブルにつけるか。さまざまな条件や理由が重なり「和解」という目標設定が最善であると判断されたわけです。
つまり、ここでいう「和解」とは対立関係の変化を引き出し、新たな紛争を未然に防ぐために設定さえた「社会的な目標」であったのだ。
和解・・・。紛争を再発させまいと本活動に取り組む人々の最善策。そう思うと、対立関係にある集団が対話の場につくときのファシリテータのありようも、理想主義的でありながらとても現実主義者であることが求められる。
THE BIG ISSUE 144号2010年6月1日号より
映画『インビクタス』ご覧になりましたか?ネルソン・マンデラ氏が、孤独な牢獄生活の後、94年に南アで初めて民主的に大統領として選出された際に、「自分と違う人種に敵意を抱くべきではない。世界とポジティブな普遍的価値に目を向けるべきだ」と、黒人が受けた屈辱、侮辱の反動力ではなく、未来に向けた和解と共生のエネルギーを束ねていった姿が印象的でした。
「長い孤独な月日の間に、同胞の自由を求める私の気持ちは、黒人も白人も含めたすべての人々の自由を求める気持ちに変わっていった。抑圧された人々が解放されるのと同じように、抑圧する側も解放されなくてはいけない。他人の自由を奪うものは、憎しみの囚人であり、偏見と小心さの檻に閉じ込められている。私がもし誰かあの自由を奪ったとしたら、自分の自由が奪われたときと同じように、私は真から自由ではないのだ。抑圧される側も抑圧する側も、人間性を奪われている点では変わりない・・自由になるということは、自分の鎖をはずすだけではなく、他人の自由を尊重し、支えるような生き方をするということでもある。自由に対する私たちの心構えの深さが、本当に試されるのはこれからだ」
マンデラは自伝でこう語っています。アパルトヘイトへの反対運動で投獄されること27年、その間に抑圧する側の痛みまでにも思いをはせ、同胞の自尊心の回復を第一義に考えたマンデラ氏。彼の勇気と情熱に、多くを学びとりたい。
今日の明言より。ルーズな自分に喝!
以下、引用―――――
6月10日「時の記念日」
きょうの名言 『なにかをやらせたいと思ったら、いちばん忙しい奴にやらせることだ。それが早く的確にことをすませる方法である』 ナポレオン
いちばん忙しい人は、
有能な人であり、時間を守れる人、なのかもしれません
『時間の使い方が下手な人間ほど、「時間が足りない」と文句を言うものだ』 ラ・ブリュイエール
『ヒマを利用しない人は常にヒマがない』 西洋のことわざ
『秩序は時間を倍にする』 ラ・フォンテーヌ
『時間に追われていると、実はいいこともある――
集中力が生まれ、優柔不断は追い出され、考慮しなければならない選択肢の数が減るのである』 ロバート・ヘラー
『いちばん多忙な人間が、
いちばん多くの時間を持つ』 アレクサンドル・ビネ
真に忙しい人は効率的に時間を使えるのかもしれません。
韓国94、
米国76、
欧州57、
日本39。
リーマン前の、07年度予算を100とした場合の、09年度の回復指数。韓国が日本と比べ、調子がいいのは、ウォン安と円高の違いがあるようですが、新興国市場の初動スピードが違うらしいです。
数値で見ると圧倒的!
http://gol.globis.co.jp/column/view/view07_01.html
グロービスのニュースより。いつめは読み飛ばすメールだが、なぜか気になった。
「非連続の経営」
企業のイノベーションを、アントレプレナーシップ論で語れない理由は、既存事業を抱えなから、その脇で、新しい事業を育てる必要があるからだ。
インド人の経営グルの一人、スマントラ・シャガールは、個を活かす経営などの著書を通じ、働く人の幸せと既存の持続的成長の共進モデルを明らかにしようとした。
そんな彼が注目したのが、ソニーなどをはじめとする日本企業。彼は、日本人自身が自らの成長モデルを説明することから逃げていると喝破していた。
本記事を見て、わたしもエールを得た気がした、日本人が日本の経営、成長モデルを世界に発信する。人を活かすという思想が、グローバルな経営者からの要請なのだから。。
Inspired by NikkeiNews20100524 経済教室
「規制強化は企業の競争力を向上させる」---。政府が打ち出した25%削減目標の裏には、環境技術の優位性を確保する革新を誘発したいとの狙いがある。私自身、この理念を楽観的に受け止め、中長期での必要な技術試算を蓄積する取り組みと思い込んでいた。
慶応大学野村准教授は、IEA(国際エネルギー機関)の要求した水準の10倍、20倍もの価格付けを行えば、企業は大幅な投資拡大が求められる、政府は、これを財やサービス需要を誘発し、生産・雇用を増加させると想定するが、一国画と出した価格付けを行えば、企業は国内から海外への生産シフトをはかり、エネルギー効率の低い途上国への試算シフトは世界全体の排出量をむしろ増加させるパラドックス(逆説)を引き起こし、国内産業の空洞化、雇用の喪失を引き起こしかねない、と説く。
とくに、厳格な環境規制が競争力を高めるというポーター仮説は理念と実証面で大きな隔たりがあると警鐘をならす(たとえば、スウェーデン炭素税は生産性向上の証拠が見出せないという実証分析がある)。
氏の主張のポイントは一つ。温暖化ガス削減には各国の調和の取れた規制導入が欠かせないということ。途上国の規制も、資金や技術移転を促す動機となるし、途上国のエネルギー効率は原油価格の安定にもつながる。いずれにしても、低すぎる価格付けは気候変動リスクを正しく反映できず、高すぎる価格付けは国民負担を過度に増大することを記憶にとどめ、先進国か途上国の対立構図を超えたCO2削減の道筋を見つけていきたい
Inspired by Nikkeinews20100522 アジアの未来
現在は二国間の自由貿易協定(FTA)交渉が活発である。韓国外交通商省FTA交渉代表の李氏は、「二国間のFTAは多国間貿易をむしろ補完する機能をもつと認識している」と語る。韓国にとって、FTAの利点は国際市場にアクセスしやすく、輸出企業を支援するというだけではなく、最大の目的は韓国経済の効率化にあるという。つまり、FTAを通じて各種規制を撤廃することで、経済構造を透明化する狙いがあるという。
なるほど、今の二国間交渉は、アジア太平洋自由貿易圏構想(FTAAP)の実現への布石というわけだ。地域統合は、EUの例にもあるように、成長の鍵を握る貿易分野、ほかに金融、財政、安全保障など、多層的な対話と合意を進めていく必要がある。
直嶋経済産業相は、1)経済連携(FTAAPの実現など)、2)アジア圏全域にわたる広域インフラ整備、3)環境問題(地域の経済成長と環境保護の両立への貢献)、4)消費市場の活性化(クール・アジア、将来への成長ビジョンを共有するアジア成長戦略を持つ) の四点が、成長に欠かせないと宣言している。
Inspired by Nikkeinews 20100417
内田樹さんの「辺境人の勧め」なる論稿が寄せられている。
雪かきのような地味な仕事のモチベーションが高い組織は強い
辺境の民であることの価値や効用を大事にすべきだ。気象や組織でも、「黙って俺について来い」という協力で有能なリーダーが待望されている。宗主国のようなリーダーが不可欠ではあるが、集団のパフォーマンスをあげるためには、いろいろなタイプの人材を有機的に組み合わせないといけない。頭の切れる、ロジカルな人ばかり集めると、組織は破綻する。
総合力では劣っていても、余人をもって変えがたい得意技を持った人、身の程をわきまえて黙々と仕事に打ち込む人、人をたて周囲を奮い立たせる人。組織のメーンストリートではない周縁で「雪かき」のような地味な仕事をいとわない人がいる。そんなモチベーションが高い組織は強い。
身の程を知る、分際をわきまえるという言葉はいまや真意貧している。これは集団の中において、自分の果たすべき役割を認識すること。身の程知らずの人間は、自分を大きく見せようとするあまり、無意識に人の仕事の妨害をし始める。能力のある人間たちが相対的な競争では勝者になっても、集団そのものの力はしだいに衰えていく、それが日本の現状だ。
分際をわきまえよ・・・、このメッセージは、私に自戒の念を強く引き起こす。30代前半、身の程を知らずに周囲の妨害をしていたように思う。周縁に生きる力を信じて、メーンストリートではない、今の仕事をやりぬこうと思う。
Inspired by Nikkeinews 20100508 動き出すインフラ輸出
横浜市の水道局職員と話をしました。彼らの課題は山積み。環境問題への対応、ボトリング・ウォーターとの戦い、そしてフランスなどの水メジャーとの戦い。数年前には水道局職員が意識するステークホルダーマップには表れていなかった登場人物とのかかわりが求められています。
新興国でのインフラ投資予測のうち、水に関する市場は20兆円以上と試算されています。電力や鉄道がそれぞれ約10兆円ですので、それを合計する規模が、とくにアジアで求められています。
仙谷大臣はベトナムへ、直嶋大臣はインドへ、前原大臣は米国・ベトナムへ・・。主要閣僚が外遊し、インフラ獲得の営業マンとしての動きを強めています。しかし、本記事では、急ごしらえの官民一体を見透かされ、分野ごとに分担した経営体であるため、ノウハウが分散している体制や、財務リスクへの対応不足が、諸外国からも指摘されているといいます。
水インフラはとくに水道の保守・管理のノウハウを自治体が保有していました。環境配慮型都市の整備事業で、そのノウハウは生かされるものの、ノウハウ移転のタイミングでは、「公務員の就業規定」が壁になり、具体的なインドの整備事業への協力体制が描きにくいといいます。
インフラ事業の輸出が、海外に比べ後手に回っているのは確かですが、どうも経済界の要請に押されて物事を動かしすぎているように思います。大臣の外遊は、事業のセールス活動には不可欠ですが、国内問題の対応に支障をきたせば、今回の口てい疫のような国民の不満を買うことになります。
また、自治体も民間のプレッシャーをうけて、腰を上げているようにも見えます。民間ではなく、公共自治体が運営するという制度設計そのものに価値があるのだとすれば、メタな制度としての価値をしっかりと打ち出していくべきではないでしょうか。インフラ事業を海外輸出するには、政府、自治体、企業の連携が欠かせませんが、裏方役はこれら三方が平等に主権をとれる関係づくり、アイデア創出の環境づくりを期待したいと思います。その合意システムそのものが、日本の売り物であるわけですから・・。
Inspired by Nikkeinews 20100517 核心
ギリシャのソブリンリスク(政府債務の信認危機)に端を発したユーロ圏の混乱は、欧州初の金融危機に連鎖しかねなかった。IMFが89兆円!もの緊急支援を打ち出し、欧州中央銀行が最後の貸し手として最悪の事態はさけられた。
本記事は、「ユーロ混乱の最大の問題は、ユーロ創設の原点が忘れられたところにある」と指摘する。
冷戦終結を受けた東西ドイツ統合こそがユーロ創設の出発点。当時のミッテラン仏大統領の呼びかけを受けて、コール独首相は、ドイツの欧州から欧州のドイツへと転換することを決意し、最強通貨マルクを放棄し、ユーロ創設を決断した。WWⅡ以後の欧州統合進展の背景には、経済大国ドイツの懐の深さがあった。「ドイツの譲歩」が欧州統合の原動力となり、めぐりめぐってドイツの国益にもつながった。
今後、「金融政策は一つだが、財政政策はばらばらという構造問題の解消」「欧州中央銀行の金融監督機能の強化」「政治統合への道への再挑戦」などにより、主権の共有というロング・ビジョンにむけて、再度歩みだす必要があると説く。
「主権の共有」は長い道のりだが、国境を接する国々が血を流すのではなく、知を結集することで発展を支えあうビジョンをけっしてあきらめないで欲しい。イギリスには若きキャメロン首相が就任した。イギリスはユーロ非加盟であるが、ユーロの創設・再結束に貢献をしてきた名裏方のようだ。ユーロ創設の際は、ブレア首相が巧みなフランス語でEU首脳会議をとりしきった、世界経済危機の打開で先頭に立ったのはブラウン首相だった。主役・脇役・裏方のパワーを結集し、ビジョンを実現をしようとする欧州を応援したい。
また、日本人である私たちが学ぶべきは欧州の勇気ある決断と、帝国主義で周辺諸国に痛みを与えた国としての責任を日本がまたどのように果たすかだ。自国経済の破綻ばかりに目を取られてはいられない。
人生の幸福な時期とはいつか?
自分の人生のなかで、相対的にイイ、ワルイとランクづけるのは、生産的でないと知りながら、ついこんな問いが浮かんで来る。
子供の頃は、「仕事とは責任があってめんどうなものらしい」と感じられ、子供と老後こそが楽しい時期なのだ、と思い込んでいた。
仕事を持ち、経験を重ねたいま、先人の言葉を祈りのように大事にしたいと思う。
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『もっとも幸福な人間は、もっとも味わい深い考え方をする人間のことである。だから人間は年をとるに従って、ますます幸福になっていく』
『幸せを十分に味わえる考え方が大切。そういう考え方を深めるためには歳月が必要』
ウィリアム・ライアン・フェルプス(アメリカの教育者/1865−1943)
『大事なことは何か。なにごとによらず、一つずつの行為を十分にあじわいながら、その一瞬を大切に過ごすこと』
五木寛之
『最上の幸福は、一年の終わりにおいて、年頭における自己よりも、よくなったと感ずることである』
トルストイ
内田樹先生の家族論。氏の家族観は、家族は共感や相互理解のもとにはたてないというもの。
え〜、そんな冷淡なぁ!とも思える視点だが、家族が居心地のいいものであれば、家を出て、新たな家族を築こうと思わないではないか!と喝破される。
確かにこの視点で当今の家族論を見ると、完璧な家族を前提にした議論が多い。
つい、制度設計は望ましい(理想)人間像を想定し、彼等が行きやすい環境を想定しがちだが、「私でもできる」を基準にするべきであるという指摘を心に留めておきたい。
華やかなイメージを持っていた。しかし、彼はひきこもりも、自殺未遂も、対人恐怖症も経験していた。そしてこれらの経験から、機微を伝える演出家になった。
記事には、亜門氏がケニアを番組で訪れたときのエピソードが紹介されている。一日目、彼は村人の接待を受けるが、あとでそれが倉庫に残された最後のスイカであるとしる。二日目から、「亜門は村を救いに来てくれたんだろう」と詰め寄られ、言葉を失う。貧困で皮と骨だけの少年、金!と連呼する女性。否定できない現実のなか、彼は自分に問いつづける。「君は、どういきるの?」
彼は中洲にのびた、とうもろこしを発見し、毎日村人と畑を掘り起こした。鍬を持つ手はまめだらけ。作業を続けるうち、10人だった村人が、50になり100になった。番組なんてかんけーねー!彼の生きる力が、周囲を動かしたのだ。
みんなを動かす、その原動力は「なぜわたしはここにいるのか」という問いに答える粘り強い生命力ではないのか。
少し古い記事ですが、最近日本の新聞に再掲載されていたため、リファーしました。
一人あたりGDPが1万ドルを越えるあたりから成長と幸福感は比例しなくなる・・・、1970年代から「幸福の経済学」で指摘されるが、幸福度の指標は努力に反して一般化していない。経済成長が伴わなくても、幸福度は高いのかといえばそうではないことが マップからも垣間見える。
第一位のデンマーク、高負担・高福祉で幸せを実現するが、強い経済成長なくして福祉なしの合意があるため、人口550万人でありながら、グローバル市場で名をはせる企業を輩出している。実際、IMDによる国際競争力調査では5位(日本は17位)、一人当たりGDP(2008年)は9位(日本は31位)と、強い経済力が証明されている。
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